オークションデータを見るときの注意
オークション結果は実物資産の重要な一次データですが、画面に表示された金額をそのまま集計するだけでは比較可能なデータになりません。
最初に価格の定義を固定する
ハンマープライスは競りが終了した時点の落札額です。一方、買い手が実際に支払う総額にはバイヤーズプレミアム、税などが加わる場合があります。さらに売り手の手取り額はセラー側の手数料等によって異なります。
オークション会社ごとに結果表示の定義が違うため、複数社をまとめる場合は「何を価格として保存したか」を記録しなければなりません。当サイトのデータ収集でも、価格定義が確認できないものを安易に同一系列へ混ぜないことを重視します。
落札だけでは需要全体を表さない
落札結果だけを集めると、不落となった品が消えます。不落が増えている局面でも、成立した少数の高額取引だけを見れば市場が強く見える可能性があります。
可能であれば出品数、落札数、不落、取り下げ、アフターセールを区別します。不落率にも最低落札価格などの影響があるため、それ単独で需要を断定するのではなく補助情報として使います。
再出品と重複を見分ける
同じ作品や個体が別の開催回に再出品されることがあります。単純な件数集計では別物として数えられ、価格統計を歪める可能性があります。
作品名だけではなく、作家、制作年、寸法、車台番号、ヴィンテージ、ロット番号、画像などカテゴリーに応じた識別情報を組み合わせて確認します。同一品の再取引であることが確認できれば、それ自体が価格変化を測る有用な情報になります。
通貨換算の日付もデータの一部
海外オークションは現地通貨の原値を保存し、円換算などを行う場合は使用した為替レートと日付を残します。開催日、結果公表日、決済日では為替が異なるためです。
原値を残しておけば、後から別の換算ルールで再計算できます。加工後の円価格だけを保存すると検算が難しくなります。
速報より公式結果を優先する
SNSやニュースは開催情報や注目ロットを発見する入口として有用ですが、確定値の正本にはしません。公式カタログ、公式結果、主催者の訂正情報など、出所を追跡できる資料を優先します。
Passion to Portfolioでは「収集できた」と「公開できる」を分けます。取得したデータは出典、定義、重複、単位などを検証し、比較に耐えると判断したものから公開する方針です。
一件の高額落札を市場全体にしない
ニュースになる記録的落札は市場の存在感を示しますが、市場全体の典型価格とは限りません。カテゴリーの方向を見るときは複数取引を集計した指数と個別取引を分けて扱います。
個別の落札事例を確認したい場合は、同じカテゴリー、年代、状態、仕様など比較条件を狭め、指数は背景となる市場環境の確認に使うのが基本です。